今ぼくは六本木の街で彼女を待っている
天使と悪魔が手を取り合ってジャイブを踊る街
地獄と天国がかわるがわる繰り返される街
この天国では誰もが誰かの天使であり
この地獄では誰もが誰かの悪魔である
全世界人類の相関図に引かれた矢印の分だけ
ぼくたちはその矢印のありように
とてもとても惹かれる
それでいて自分という点にひどく不安を覚える
だからこそぼくらは小説という物語を編み上げる
これはまるでクリスマスに片想いの相手を想いながら
手編みのマフラーを編み上げる乙女のようだ
結局はそのマフラーを渡す勇気もないのに
もうあと五分くらいで彼女が着くらしい
でもぼくのいるクリーマリーの行列は
まだ二十分待ちだ