XII−NO.12の戦士達−

エピローグ
 
 誰もいないブルーパークの中心に立って、手をかざす。
 あの日渦巻いた風は、すっかり止んでしまっている。
 陽光がピッチの芝に降り注ぎ、青い匂いを立ち上らせた。
 メインスタンドの上部を見上げる。
 今頃、あそこでどんな会話がなされているんだろう?
 ひとつのチームに対する二人の執着や愛情は、ぼくにはわかりようもない。
 ただ二人にとって、十年の間、このパイレーツというチームだけが、お互いをつなぐ唯一の手段だった。
 金儲けと話題性しか考えていない最低のクラブチーム。
 だけどこんなチームでも愛してくれる人がいる。
 こんなチームでも誰かの支えになることはある。
 プロサッカーをただのエンターテイメントだと思う人もいるだろう。
 プロサッカーをただのスポーツだと考える人もいるだろう。
 人の数だけ価値観がある。
 サッカーに怒りを注ぎ込んだ十河は、試合のあとぼくにユニフォームを投げつけ「何を笑っている」と忌々しげに吐き捨てた。
「勝ったのは俺たちだ! 結果が全てなんだ! お前も壁凪と一緒で勝ち負けより大事なものがあるってクチか? そんなの負け惜しみにすぎねーよ」
 それだけ吐き捨てると、ぼくの差し出したユニフォームを受け取ることはなく、立ち去っていった。
 勝ち負けより大事なもの。
 そんなものわかりやしない。
 結局、プロサッカーがエンターテイメントなのか勝負事なのか、わかりもしない。
 だけど一つだけ確かなこと。
 これから先も、ぼくはサッカーと関わっていくだろうということ。
 このピッチに立ち続けたいと思ったこと。
 もう遅いのかもしれない。
 今更なのかもしれない。
 だけどあきらめるのはやめにした。
 ストイコビッチにはなれない。
 壁凪圭吾みたいなプレーは出来ない。
 十河大作のような強さもない。
 神楽京介のような執念もない。
 ぼくはファンタジスタでも、天才でもない。
 そんなことはどうでもいい。
 他人がどうだろうと知った事じゃない。
 ただ今いる場所で、ぼくはやれるだけのことをやって、行けるところまでいってみようと思う。
 どこまで行けるかわからない。
 だけどあの風が吹くかぎり。
 ぼくは走り続けることが出来る。
 手をかざす。
 それはどの日だったか――
 圭吾の蹴り上げたボールは、この空へ吸い込まれていくかと錯覚した。
 圭吾
 ぼくは待っているよ。
 このピッチの上に立ち。
 君を待ち続ける。
 そして
 またいつか
 二人で――
 
 サッカーをしよう。
 
           
      セカンドシーズンへ続く
 




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