誰もいないブルーパークの中心に立って、手をかざす。
あの日渦巻いた風は、すっかり止んでしまっている。
陽光がピッチの芝に降り注ぎ、青い匂いを立ち上らせた。
メインスタンドの上部を見上げる。
今頃、あそこでどんな会話がなされているんだろう?
ひとつのチームに対する二人の執着や愛情は、ぼくにはわかりようもない。
ただ二人にとって、十年の間、このパイレーツというチームだけが、お互いをつなぐ唯一の手段だった。
金儲けと話題性しか考えていない最低のクラブチーム。
だけどこんなチームでも愛してくれる人がいる。
こんなチームでも誰かの支えになることはある。
プロサッカーをただのエンターテイメントだと思う人もいるだろう。
プロサッカーをただのスポーツだと考える人もいるだろう。
人の数だけ価値観がある。
サッカーに怒りを注ぎ込んだ十河は、試合のあとぼくにユニフォームを投げつけ「何を笑っている」と忌々しげに吐き捨てた。
「勝ったのは俺たちだ! 結果が全てなんだ! お前も壁凪と一緒で勝ち負けより大事なものがあるってクチか? そんなの負け惜しみにすぎねーよ」
それだけ吐き捨てると、ぼくの差し出したユニフォームを受け取ることはなく、立ち去っていった。
勝ち負けより大事なもの。
そんなものわかりやしない。
結局、プロサッカーがエンターテイメントなのか勝負事なのか、わかりもしない。
だけど一つだけ確かなこと。
これから先も、ぼくはサッカーと関わっていくだろうということ。
このピッチに立ち続けたいと思ったこと。
もう遅いのかもしれない。
今更なのかもしれない。
だけどあきらめるのはやめにした。
ストイコビッチにはなれない。
壁凪圭吾みたいなプレーは出来ない。
十河大作のような強さもない。
神楽京介のような執念もない。
ぼくはファンタジスタでも、天才でもない。
そんなことはどうでもいい。
他人がどうだろうと知った事じゃない。
ただ今いる場所で、ぼくはやれるだけのことをやって、行けるところまでいってみようと思う。
どこまで行けるかわからない。
だけどあの風が吹くかぎり。
ぼくは走り続けることが出来る。
手をかざす。
それはどの日だったか――
圭吾の蹴り上げたボールは、この空へ吸い込まれていくかと錯覚した。
圭吾
ぼくは待っているよ。
このピッチの上に立ち。
君を待ち続ける。
そして
またいつか
二人で――
サッカーをしよう。
セカンドシーズンへ続く
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